Brandism木村元が考える”成果を生み出すマーケター”とはー『ブランド・パワー』発売記念インタビュー vol.2

先日、Brandism(ブランドイズム)代表木村が、著書『ブランド・パワー』を発売しました。(Amazonでのご購入はこちら

インタビューを記念した本記事では、木村にインタビューを行い、マーケティング業務や育成に対する考えを聞きました。

ユニリーバでメガブランドを率いてきた木村が考える「マーケターとして必要なマインドセット」や「マーケター育成時に意識していること」が、皆さまの一助となれば幸いです。

第一弾のインタビューでは木村のこれまでのキャリアについて記事になっておりますので、あわせてご覧ください。

マーケターに求められる能力とは

ー日々、Brandism(ブランドイズム)ではどのような仕事をしていますか。
Brandismでは「ブランドマーケティング」を起点としたマーケティング支援業務を行っています。BtoBからBtoCまで幅広いカテゴリのサービス・プロダクトの包括的な支援です。

一般的なコンサルティング会社が提供する、課題発掘からソリューション提案だけではなく、事業会社の1マーケティングメンバーとして実務の伴走支援もしているので成果が出るところまでご一緒することが多いです。

我々は、事業会社出身者で構成された会社ということもあり、売上と利益をもたらすまでの実行段階の支援は、通常のコンサルティング会社にはない強みだと自負しています。

 

ーマーケターに求められるスキルセットはどのようなものだと思いますか。
一言に”マーケター”といっても幅が広いため、一般的に求められるスキルセットという観点でお話します。

最も基礎的なスキルとして、「戦略的な思考に基づいた売上・利益の構造把握能力」があります。

売上と利益と言うと難しいですが、シンプルに言うと「売上を上げながら、会社のコストを下げていくこと」を指します。

Webマーケティングの用語で表現すると、LTV(Life Time Value:顧客あたりの生涯売上)を上げながら、CPA(Cost Per Acquisition:顧客あたりの獲得単価)を下げる方法を指します。

実際には、デジタルに閉ざした指標ではなく企業全体としてマーケティング戦略を考えていきます。月間、四半期、年間、中長期での事業計画を考えながら、売上が伸び続け、売上に対するコスト比率が下がる状態を目指していきます。

マーケティング部門は「お金を使う部門」と揶揄された表現をされることもありますが、良いマーケティングとはファイナンスや組織全体を考慮した上で、売上だけではなく利益をもたらすものです。

有限なリソースを活用し、持続的にビジネスを伸ばしていく力が必要になるという点で、マーケティングスキルとは経営力だと私は考えています。

次に、「良いチームを作るためのリーダーシップ」も必要です。

事業会社において、マーケティング部門は経営に近い存在になるため様々な部署と仕事をします。

事業戦略の作成やプロダクト開発の過程で、社内横断的に他部門と関わる際のコミュニケーション力やリーダーシップが求められます。

目指すゴールの認識を揃え、チーム全員で推進力を持つ企業やブランドは成果に結びつきやすいです。マーケターとして、チーム全員が同じ目標を追いかけていくよう働きかけることが重要です。

コミュニケーション力やリーダーシップは後天的に習得できる能力だと考えていますので、リーダーシップ経験の有無は必ずしも関係ありません。

 

ーマーケターに必要なマインドセットとは、どのようなものでしょうか。
1点目に、人・商品カテゴリといった「対象への興味・好奇心」だと考えます。

一定の範囲までは、興味が無くても表面上のテクニックやロジックでマーケティング業務を行うことができます。

しかし、消費者インサイトや市場トレンド、マーケットへの理解をさらに深めるには、365日24時間アンテナを張っている必要があります。

そうした意味で、マーケター本人がプロダクトや業界に興味・関心を抱いていることは必須の要素です。

2点目に、「成果を残したいという情熱」です。言い換えると「自分に課せられているKPIを確実に達成する」という強いモチベーションを指します。

ただし、目標達成への情熱のみが先行してしまうと、どこかで飽きてしまって日々の業務がしんどくなる局面に陥ることがあります。まずは、対象に好奇心を抱き、次に目標を達成する情熱を持つという順序を踏むことが重要です。

加えて、カテゴリへの興味・関心とは別に、「マーケティングそのものへの興味・関心」も大切です。

「マーケティングを学問と捉えて向き合う」「日々アップデートされるテクノロジーに関心を寄せて最新のマーケティング手法を自分で考える」「様々な業種の人々と情報交換をしながら柔軟に新たな手法に挑戦していく」といった姿勢を指します。

まとめると、自身が担当するモノや事に強い関心を抱き、目標達成したいという情熱を持ち、マーケティングに対する知識を自らをアップデートしていく姿勢がマーケターとして必要なマインドセットだと考えます。

マーケター育成において意識していること

ー自分のチームや組織においてマーケターを育成する上で、何を意識していますか。
「メンバー自身が自分で考え、実行するための余白を空けること」を意識しています。

メンバーに任せる領域を広げることは、一見遠回りに見えますが、1から100まで全て自分が指示することは避けています。

自身で深く考え、成果に向けて仮説検証を繰り返すことで、マーケターとして求められる思考の精度やスピードが高まるためです。

また、「メンバーを育てる」という観点に加えて「チームの成果を最大化する」という観点でも「思考の余白を残すこと」は重要な役割を持ちます。

マネジメント階層の人であれば、課題に直面した際に過去の経験から「きっとこの方法がベストだろう」と自分の中でアプローチ方法を無意識的に考えてしまう経験があるはずです。

しかし、メンバーと壁打ちをすると、自分だけでは得られなかった視点をチームのメンバーが持っていることも多く、役割や年次に関係なく互いにアイデアやクリエイティビティを高めることが出来ます。

成果最大化に向けてチームの総合力を引き出す意味でも、メンバー自身が事に向き合う余白を持つことを意識しています。

 

ー自分のチームではなく、クライアントのマーケティングトレーニングにおいて意識していることは何ですか。
できるだけ短い時間でノウハウを注入し、持続的な仕組みとして動けるような伝達を意識しています。

課題への答えを伝えるだけでなく、半年後に別の課題に直面したときにクライアント自身が解決できるような伝え方を意識しています。

例えば、フレームワークを伝達して話すことや、インサイト発掘のやり方を伝えることです。目的の達成に向けた手段を構造化し、全体の絵が見えるように伝えることを意識しています。

加えて、教科書的なマーケティング・トレーニングに留まることなく、実行を見据えた情報をお伝えできるように意識して話をしています。

例えば、BtoBのクライアントには事業会社における意思決定のプロセスや担当者のインサイトを踏まえたアクションを整理します。

BtoCのクライアントには、小売りの構造整理といった旧来的な情報から最新のデジタルマーケティングのトレンドまでを、肉厚にお伝えできるようアジェンダを組んでいます。

 

ーマーケターとして仕事をする上で、どのようなことを意識していますか。
自分の置かれる年齢やポジション、状況に応じて、意識することは大きく変化してきました。現在のBrandismの代表としての業務で意識していることは、「本質となる考え方をブラさない」ということです。

様々なクライアント様と関わらせていただく中でも、事業を伸ばすための核となる考え方や1点突破に向けたアイデアを持つ姿勢を崩さないことを意識しています。

例えば、ターゲット市場・顧客を明確にし、ユーザーが抱えるインサイトを定義し、プロダクトをソリューションとして提供することや、クライアントのブランド・パワーを可視化し、本質的に解決すべき内容を元に戦略的アプローチを取ることが挙げられます。

こうした背景として、持続的な事業成長をもたらしたいと考えていることがあります。

事業の状況が好ましくない場合には短期的な目線での施策に目が行きがちです。ただし、短期的な目線での施策は本質的でないことが多く、ドーピングのような施策の効果は次第に低減していきます。

短期の売上・利益を伸ばすためにも、まずはマーケティングの基本に忠実に、しかし徹底的にアウトプットの質にこだわってアプローチすることが重要です。

加えて、「成果までを見据えた提案」も意識しています。

成果までを見据えた提案とは、仮説ベースのアイデアや、実現可能性の伴わない大量のパワーポイントではありません。定量・定性の調査で得たファクトを基に構築した戦略を、実現可能な状態で提案することです。

まとめると、トレンドに乗った一過性の提案に終わることのない「本質的なアプローチに則り」、「実行まで見据えた」提案を行い、ご相談いただいたクライアント様の資産になるよう取り組んでいます。

Brandism(ブランドイズム)とは

ーBrandismはどのような会社ですか。
大きく3つの特徴があります。

1つ目は、Brandismは、コンサルティング会社出身ではなく「事業会社の人間で構成された会社」という点です。

一般的なコンサルティング会社のような戦略提案はもちろん、実行していくための実現可能性も踏まえた伴走ができる点が強みです。

2つ目は、「最新のマーケティングを踏まえたアプローチを採用できる」点です。

マーケティングにおける戦略的な思考は、P&Gやユニリーバといった会社や、アカデミックの分野で発展した「王道」とされる考え方があります。

マーケティングに限らず、経営、営業、ファイナンスといった多くの領域で「王道」とされるアプローチが存在し、成果を出すために正しいことを正しくやることは大切です。

しかし、ユニリーバにいたからこそ感じますが、王道的なアプローチは変わらなくて良いというものではありません。

世の中の変化が大きくなる中で、昔から語られるブランド起点のアプローチをそのままぶつけるだけでは、売上と利益に繋げるのが難しい局面も多くあります。

そうした中で、Brandismは平均年齢33歳の事業会社出身者で構成されており、これまで王道とされてきたアプローチと、デジタル領域をはじめとする最新のマーケティングを用いたアプローチをハイブリットに提案できる会社だと考えています。

普遍とされてきた考え方を不変で終わらせない点が自分達の強みです。

3つ目が、「幅広いカテゴリの、難易度の高い挑戦に挑むことができる」点です。

ご相談をいただくカテゴリは消費財が多いですが、ITやBtoBのように、ブランドが不要だと考える方もいる領域のお話をいただく機会も増えました。

総合商社と新規ビジネスに取り組んだりなど、難易度の高い取り組みをしている点も大きな特徴です。

私たちBrandismメンバーは幅広い領域において価値を伸ばすことに貪欲です。

戦略設計、EC、D2C領域、海外リサーチ、リテール領域におけるOMO、新規事業のスキーム開発、顧客インサイト発掘、SDGs事業のブランド化など、様々な強みを持ったメンバー全員が所属しています。

最新のマーケティングメソッドを元にクライアントと共に伴走することによって、プロダクトやサービスの価値を広めることに意識を向けています。

 

ー今後Brandismでどんなことをしていきたいですか。
たくさんありますが、Brandismとして目指す姿は大きく2つあります。

1つ目は「マーケティングの考え方がまだ十分に注入されていない国内の大手企業を伸ばしていくこと」です。

自分自身ヨーロッパに行っていて感じましたが、日本はマーケティングやブランディングにおいて残念ながら後進国です。反対にいうと、これは大きな機会とも言えます。

卓越したプロダクトやサービスを有している国でありながら、マーケティングを強化していない状況であり、正しいマーケティングやブランディングを行うことで更にビジネスを伸ばせる可能性が高いと言えます。

まだまだ広まっていないマーケティングの力を通じて、素晴らしいサービスやプロダクトに持続的な成長をもたらしたいです。

こうした取り組みの先には、日本国内でのプレゼンスだけでなく海外でも勝てる事業を生み出し、大きなインパクトを残すことができると考えています。

2つ目は「マーケティングのリーディングカンパニーであり続けること」です。

既に大きく、強いブランドを持っている会社は多くあります。マーケティングの考え方が既に浸透している会社が、さらに成長する足がかりとしてBrandismを頼ってもらいたいと考えています。

例えば外資系のブランドのように、既に優れたブランドを持ち、マーケティングに優れている会社に「Brandismとブランド価値を高めたい」と考えて頂けるように、日本で最先端のマーケティングを提供するリーディングカンパニーでありたいと考えています。

 

ーありがとうございます。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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