クリエイターエコノミーとは?”「人」から買う”消費行動のトレンドを徹底解説

クリエイターエコノミーとは

小学生のなりたい職業ランキングにYuoTuberが継続してランクインするなど、インフルエンサーを含む”クリエイター”に注目が集まっています。(参照

”クリエイターエコノミー”とは個人のクリエイターが、自身のスキルを生かし主にSNSを使って収益を得る経済圏のことです。例えば、動画・画像などのコンテンツを制作・発信したり、オリジナルグッズを販売したりすることで収益を得ることができます。

ここでいう”クリエイター”とは必ずしも動画配信者やデザイナーなど作品を制作する個人に限らず、Instagramで活動するインフルエンサーなどあらゆるジャンル・規模で創作活動を行う人のことを指します。

また、活動するプラットフォームもYouTubeやTikTok、Instagramなどの大手SNSに加え、音声配信サービス、自身のECサイトを構築できるShopifyやNFTプラットフォームなども含まれます。

それぞれの個人は、動画や画像、イラストを含む様々なコンテンツの販売、関連サービスや商品の販売、投げ銭やクラウドファウンディング、イベントの開催、サブスクによる継続的な収益など様々な方法で収益を得ます。

また、クリエイターの活動のマネジメントや事務手続きをサポートするサービスなど、クリエイターの活動をさまざまな観点で支援するサービスも登場しています。

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国内のクリエイターエコノミーの市場規模は1兆3,574億円と推計されており、その中でもモノ・グッズの販売や動画投稿に関連した広告、スキルシェアの寄与が大きくそれぞれ2,000〜3,000億円程度を占めます。また、2021年に実施された海外の調査では、海外クリエイターエコノミーの市場規模は1,042億ドル(15.1兆円)にのぼると推計されています。

海外のクリエイターエコノミーとその事例

日本と比べて海外ではクリエイターエコノミーの発展が進んでおり、「人(インフルエンサー)から購入する」ということが新たなトレンドとして定着しています。この背景にはインフルエンサーの投稿した服などをフォロワーが直接購入でき、その売上の一部がインフルエンサーの収益として分配されるというようなプラットフォームが多数運営されていることがあります。

その代表格であるLTKでは既に20万人のインフルエンサーが登録し、提携する5000以上のブランドの中から自身のセンスで選んで、フォロワーに販売できるようになっています。そして130人を超える登録インフルエンサーが、LTKを通じて100万ドル(約1億3600万円)以上の販売額をたたき出していると言います。(参照

(LTKより引用)

LTKのインフルエンサーが稼ぐ金額は、フォロワー数、エンゲージメント率、制作するコンテンツの種類、宣伝する商品、手数料率などの要因によって大きく異なります。

ウォール・ストリート・ジャーナルは数年前、ユタ州の比較的無名なブロガーであるレイチェル・パーセルがLTKから毎月3万ドル以上稼いでいると報じました。しかし、ほとんどの小規模なインフルエンサーや始めたばかりのインフルエンサーの場合、収益は月々500ドルから1,000ドルくらいだと言われています。(参照

2023年8月には、X(旧Twitter)のクリエイター広告収益分配プログラムが日本でも適用されました。X Premium(旧Twitter Blue)に加入しているユーザーなどに広告収益を分配する仕組みで、例えば2月から7月末までの6カ月分の収益として、匿名掲示板「2ちゃんねる」の開設者として知られるひろゆきさん(フォロワー数約240万人)は、約36万6000円の入金があったと公表しています。

(Xより引用)

他にも、タレントでグラビアアイドルのくりえみさん(フォロワー数約61万5000人)は1万2634円の収益、声優の村瀬歩さん(フォロワー約35万4000人)は約1万9000円の収益が出たと報告しています。(参照

例えば、Blog Ambitiousという個人ブログを運用するアメリカのブロガーは、2022年の収益が334,334ドル(約4,800万円)になったと報告しています。

(Blog Ambitiousより引用)

彼が使っているプラットフォームは主にLTKとMediavineの2つであり、アフィリエイト広告からの収益が51%と大部分を占め、次にディスプレイ広告が39%、スポンサー付き投稿が8%と続いています。2017年度の彼の収益は14,000ドル(約200万円)と報告されていますので、5年間で20倍以上になっています。(参照

クリエイターエコノミーが拡大している理由

クリエイターエコノミーはクリエイター、ユーザー、プラットフォーム・支援サービスのそれぞれの動向が複合的に寄与し、コロナ禍がその流れを加速させたことでここ数年で急速な市場拡大を遂げてきました。クリエイターエコノミー拡大の要因は主に2つあります。

一つ目は、コロナ禍で外出を控える人が多く在宅時間が増加した結果クリエイターが創作活動に当てられる時間が増えたこと、これまで外出や移動に充てていた時間を動画視聴などに費やす人が増えユーザーがSNSを見る時間が増えたことが挙げられます。

また、働き方改革の一環として副業・兼業が推進され、多様な働き方への関心が高まっていることもクリエイター活動に取り組む人の増加を促しています。

二つ目は、クリエイターとしての活動が行いやすくなったことです。SNSをはじめ多様なプラットフォームや収益化手法の登場により、クリエイターの個々のスキルや志向に沿った活動が行いやすくなっています。

従来のクリエイターエコノミーはコンテンツに紐づいた広告で収益化を行うケースが多く、幅広いユーザーの関心を集めるコンテンツを作成する人が多い傾向がありましたが、プラットフォームの増加や多様化に伴い、限定的なフォロワーを対象として、モノやサービス・スキルなどを販売して収益をえることが可能になり、活動の仕方が多様化し、クリエイター活動を始めるハードルも下がっています。

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日本で利用されているプラットフォーム

日本でもYouTubeやTikTok、Instagramなどの大手SNSに加え、クリエイターが自身のスキルを使って収益を得られるプラットフォームが増加しています。

例えば、画像素材サイトであるPIXTAには401,442人以上のクリエイターが登録しており、86,443,127点の素材が登録されています。PIXTAでは誰でも簡単に自分が撮った写真をアップロードし、販売することが可能です。

(PIXTAより引用)

文章投稿サイトであるnoteには663万人が会員登録をしています。文章の投稿がメインですが、小説や自分のスキルを共有するブログなどの文章だけでなく、マンガ、音声、動画、デジタルコンテンツなどあらゆる創作を販売できます。サブスクリプション方式の定期購読制で自身のファンコミュニティを作ることも可能です。 

(noteより引用)

デザイナーが作った手作り・ハンドメイドの作品が購入できるCreemaやminneといったサービスも登場しています。それぞれ、売上の11%、10.56%の成約手数料が発生しますが、自分のセンスで制作したアクセサリーや雑貨、インテリアなどをユーザーに直接販売することができます。

(Creemaより引用)

画像や動画、文章などのコンテンツではなく自身のスキルを収益化するプラットフォームとしては、ココナラというサービスが人気を拡大しています。会員数は300万人を超えており、一部の業務を外注したい企業や個人から依頼を受けて報酬を得ることが可能です。ココナラはクリエイターと依頼者がマッチングするとクリエイター側から手数料をとるモデルになっており、25%がベースの手数料として設定されています。

企業によるクリエイターエコノミーの活用方法

日本では海外に比べて個人の有料利用率及びインフルエンサーマーケティングの普及度が低くなっており、企業とクリエイターとのタイアップが海外に比べて小規模な傾向がありますが、近年、クリエイターを活用した企業によるマーケティングも増加しています。

例えば、腕時計ブランドの「ダニエル・ウェリントン」はインスタグラムのインフルエンサーマーケティングを活用し、ブランドの認知度・売り上げを向上させています。同社はフォロワー数の少ない小規模のインフルエンサーを活用しブランドの認知を向上させるとともに、キャンペーンコードの配布やハッシュタグを絞った展開などのマーケティングを行いました。

ゲーム開発会社「エピックゲームズ」は人気ゲームである「フォートナイト」のプロモーションに、ライブストリーミングプラットフォーム「Twitch」のクリエイターを起用しました。ゲーム実況者たちにフォートナイトをプレイする様子を配信してもらうことで視聴者のゲームへの興味を高めることに成功しました。

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おわりに

現在クリエイター活動に取り組んでいない人の約3割がクリエイター活動に取り組む以降を有しており、日本のクリエイターエコノミーはまだまだ発展していくと考えられます。

人(インフルエンサー)から購入するという消費行動が増加する中で、どのようにその流れに乗ってクリエイターを使い、企業としてのマーケティングを行うのかというのは難しい問いですが、自社のブランドイメージや狙いたい層を明確にしてクリエイターを起用することで認知度や売上に大きく貢献した例もあります。

Brandismはクリエイターを使用したマーケティングを含めマーケティング戦略全般について支援を行います。

一緒に売上に貢献するパートナーとしてBrandismを選んでいただければ、必ず良い結果を生み出せると信じています。

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