当社は様々な会社からマーケティング領域における支援の依頼をいただきます。CMO不在のクライアントの場合、社内の人間として限りなく近い形で支援し、CMO代行を行っております。
支援していく中、
「優秀なマーケターを採用してマーケティング部門を強化したい」
というご相談を多々いただきます。
当社は人材紹介会社ではないため、なかなか人材採用面から支援することは難しいのですが、マーケティング領域に強いメンバーがいる当社から見て、採用に向けたアドバイスをいくつか記していきます。
業務範囲を明確にすべき
特に外資系企業出身者(P&G、ユニリーバ、ロレアル)を採用するときに起こりがちですが、業務範囲が曖昧なまま候補者と面談してしまうとやるべき仕事がわからないため、入社後のイメージを持ってもらうことができません。
採用する側がベンチャーや大企業であっても、時々によって業務内容が変化することは誰しもが承知しています。加えて、昨日やると決めたが社内事情によって今日には180度変わっていることも珍しくないと思います。
それでもなお、現時点での業務範囲を明確にしてあげて、入社後のイメージをつけてもらうことが重要です。
外資系企業に所属するマーケターは業務範囲を細かく定義し、仕事の目的を他業界よりも明確にする風潮の印象があります。
業務範囲が決まったら与えられたなかで120%の力を発揮するマーケターが多いです。外資系企業であれば本国の影響で部門の人員削減やブランド撤退などあるので、ベンチャーと同様に変化の激しさには慣れています。
変化に慣れている一方で、変化したタイミングで新たに要件定義をし直してあげることがマーケターの働きやすさにつながっていきます。
裁量が狭い、広いといったポイントよりも裁量を定義してあげることが重要になります。もちろん役職がディレクター以上の方であれば、裁量を定義すること自体が仕事なので、要件定義をしてあげる必要はないかもしれませんが、若いマーケターと働く際は業務範囲の定義をしておきましょう。
マーケティング予算の幅を提示
マーケターにとって大事なものは運用予算です。どれくらいの予算でどれくらいの売上を目指すかという数字を与えられる必要があります。
これは予算がないと採用できないという訳ではなく、予算の状況をあらかじめ共有しておかないと、マーケティング施策のイメージがつきません。
「予算が年間5億円未満であれば、テレビは使わずデジタルとPRだけで攻めよう」といったイメージをもってもらうことが重要です。
予算の増やし方と、予算に応じたお金の使い方のざっくりしたイメージを持っておくだけで採用におけるマーケターとの議論がはかどります。
得意不得意チャネルを細かく把握する
外資系消費財メーカーに所属するマーケターは幅広い広告チャネルに触れていますが、各人によって得意不得意のチャネルがあります。得意不得意というより、好き嫌いに分類されるかもしれません。
小売店との関係値が深いマーケターが効果的なキャンペーンを実施しやすいのと同様に、テレビの施策も過去の成功体験を次の施策に繋げることができます。そのため、個人の得意分野には偏りが出ます。
広告代理店も他社で成功した事例を活用するので、すべての広告チャネルや販売チャネルを完璧に理解できているマーケターは実は多くありません。
過去に成功したマーケティング施策を聞いてみると候補者の得意チャネルがわかるので、自社の考えている施策とマッチするかを検討してみましょう。
今ではデジタル施策が重要になることが多いので、デジタル面での経験が全くない方を採用するのはあまり良い採用方針とは言えません。
求める成果までの年数を提示
一般的に外資系企業のマーケティング部門であれば、1年単位で成果を求めることが多いです。もちろんもっと短期間でKPIをチェックすることもあります。
マーケティング業務を任せるときに、どれくらいの期間で成果を出すことを求めるかを事前に伝えておきましょう。
デジタル系の広告代理店であれば、広告運用開始後に成果が出るまでの期間が短く、逆に半年経っても成果が出ていなければ契約を切られることも珍しくありません。
一方、事業会社のマーケティング部門に所属するマーケターであれば、成果までの期間をやや見てあげても良いでしょう。
優秀そうなマーケターと面談しても内定承諾まで至らない理由
現在、マーケターは不足していると言われており、外資系企業に所属するマーケターにはBtoC、BtoB問わず様々な会社から「マーケティング責任者として転職してくれ」というオファーが来ます。
また、副業ベースで他社で働く人も少なくありません。業界的に副業が浸透してきているので、副業で最初にはじめてもらうのも1つの作戦です。
採用に悩んでいる企業では、急ぎで採用したいという会社の方が多いと思いますので、実際には副業から入ってもらう余裕が中々ないかもしれません。
内定を出したにも関わらず、採用まで至らない理由はどうしてでしょうか。
1つはカルチャーが合わないという理由が挙げられます。マーケターはカルチャー作りを大事にしており、カルチャーがフィットしないと入社を見送るケースがあります。(会社側が不採用にする理由としても多い)
カルチャーがまだできていない会社の場合は、マーケティング組織のカルチャー作りもあわせて任せるとよいでしょう。
実情として、投資銀行やコンサルティングファームより年収レンジが低いため、COOやCFO採用よりも金銭的な意味では採用ハードルは低いです。
マーケティングができる人材の母数は多くはないので、良い候補がいたら報酬面も含めてきちんと提示し、採用を狙っていきましょう。
もし、採用は難しいということでCMOの役割を外注してみたい場合は、当社までご連絡ください。