TikTokで伸びた海外ビジネス

TikTokユーザーを占める10〜20代のZ世代に自社ブランドをPRするため、今や様々なブランドが戦略的にTikTokで認知度を上げています。

日本でも、大塚製薬の食物繊維サプリドリンク「ファイブミニ」がTikTokを活用することで、2021年4月の日販平均が2倍も伸びた事例などがありました。

日本でTikTokが非常に人気なSNSアプリであり、1,663万人のユーザー(2021年時点)に向けてブランドを流行らせる市場として可能性が大きいのは確かです。

しかし、世界のTikTokユーザー数は6.9億人(2021年時点)と日本の約42倍です。

他に2022年1月のデータを見ると、18歳以上のユーザーの広告リーチ率を国別でランキングをしたところ、1位のアメリカでは50.3%、2位のインドネシアだと47.6%でした。

11位のイギリスでさえ40.4%もあったことに比べ、16位の日本はたったの14.2%でした。

そのため、海外視聴者も視野に入れるとさらにフォロワー数が伸びるかもしれません。

現に、国内TikTokでフォロワー数が最も多い「じゅんや」さんや「バヤシ」さんは、メントスコーラを芸にしたおもしろ動画やASMRを使った料理動画などを投稿しています。これらは言語とは関係なく楽しめるコンテンツなので、海外でも流行っています。

個人のTikTokerだけではなく、TikTokで認知度を上げることに成功した海外ブランドも数多く存在します。今回は、世界のユーザーに向けて戦略的にTikTokを活用した海外ブランドを6社紹介したいと思います。

1. GymShark

フォロワー数:約420万人

本拠地:イギリス

フィットネス用のアパレルやアクセサリーを販売している大手ブランドで、131各国に販売しています。

2012年に2人の高校生によって創業され、早くから「インフルエンサー・マーケティング」に特化した戦略で成功しました。

「Lex Griffin」さんや「Chris Lavado」さん含む数多くの人気フィットネス・インフルエンサーとコラボしたり、インスタグラムなどSNSを活用したキャペーンなどでユーザーにブランドの認知度を加速させました。

結果、2020年では約1,780億円価値の企業となり、最近ではTikTokで若年層に向けたコンテンツにも力を入れてます。

今までの戦略と変わらず、TikTokでも積極的に「Melanie Walking」さんや「Rybka Twins」さん含む数多くのインフルエンサーとコラボすることで、ブランドを促進させたことがTikTokで成功した最大の要因だと言えます。

TikTokページでは主に筋トレ動画、店舗内装を紹介した動画、フィットネステーマのおもしろ動画や流行動画などを月40本近くも投稿しています。

広告臭い動画ではなく見て楽しいコンテンツを提供することで、宣伝すると同時に動画のバリューを高めています。

他にも、ハッシュタグを活用し認知度を上げる戦略なども実施しています。

例えば、「GymShark 66 Days Challenge」ではユーザーが66日間筋トレをし、ビフォーアフターで変化した体を動画にするチャレンジキャンペーンを実施しました。

「#gymshark66」のハッシュタグを自分の動画概要欄に載せ、TikTokの公式アカウントをフォローするとキャンペーンに参加でき、優勝者には大量のGymShark商品をプレゼントするというものでした。

実際に「#gymshark66」の関連動画の合計再生数が約1.93億を超え、GymSharkの認知度は飛躍的に伸びました。

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2. Chipotle

フォロワー数:約200万人

本拠地:アメリカ

2022年12月時点でアメリカに3,077店舗も構える人気のファストフードチェーン店で、メキシコ料理を提供しています。現在では時価総額が約5.8兆円の大手チェーンです。

「Taco Bell」など他の人気メキシカンファストフードと違い、Chipotleは食材を工場からではなく農場から調達しているため、「高品質な食材」というブランドで差別化を施しました。

他にも、タコス、ブリトー、ブリトーボウルしかない少ないメニューから、自分の好きな具を選びカスタマイズできることが特徴的です。

そのため、サービスを効率化させ、廃棄率も下げることに成功しました。

最近ではTikTokでも活動しており、流行りのおもしろ動画、新商品の紹介動画、レシピ動画、さらに「知られていないタコスの新しい食べ方」などライフハック動画も投稿しています。カジュアルな雰囲気でユーザーに共感を得られる動画形式でPRしています。

しかし、ChipotleがTikTokで最も力を入れているのがハッシュタグを活用したキャンペーンで、今まで成功した企画が3つあります。

1つ目はリッド・フリップ・チャレンジと言い、ブリトーボウルのフタをバク転させ、フタを手でキャッチする動画を「#chipotlelidflip」で投稿するというものでした。

人気TikTokerであるDavid Dobrikさんともコラボをし、「#chipotlelidflip」は現在約3.4億回再生を達成しました。

2つ目は2019年に行われたグアック・ダンスで、「Guacamole Song」という曲に合わせて踊る動画を「#guacdance」で投稿するというものでした。

キャンペーン実施の当日に売り上げが65%も伸び、現在「#guacdance」の再生数は約11億まで到達しました。

3つ目はハロウィン時に実施される「#Boorito」で、自分のハロウィン仮装を動画で投稿するというものです。

優勝したユーザーにはChipotleの無料券含む様々な特典がプレゼントされます。現在「#Boorito」は約43億回も再生されています。

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3. The Washington Post

フォロワー数:約150万人

本拠地:アメリカ

「The Wall Street Journal」や「The New York Times」と並ぶ、アメリカで最も知られている新聞社の1つで、アメリカの政治に関する情報に特化しています。

有名新聞社であるにも関わらず、2008年のリーマンショックで打撃を受けたことがあり、業績が悪化し続けていました。

しかし、2013年にAmazonの会長である「ジェフ・ベゾス」氏に買収されて3年以内にニュースサイトのトラフィックが倍増し、収益を得るようになりました。

業績はそのまま向上し、2022年の間に6750万以上ものユーザーがニュースサイトにアクセスするようになりました。

2019年にTikTokでの活動も開始し、実際出版している新聞の内容にコメディを混ぜた動画を投稿することで、Z世代の注目を集めています。

例えば、「イーロン・マスク」氏がツイッターを買収した話題のニュースに対し、マスク氏のふりをしたThe Washington Postの従業員が、次々と容赦無く従業員を解雇するおもしろ動画を投稿していました。

他にもアメリカの政治ニュースを風刺的に捉えたコンテンツを投稿しています。

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4. Crocs

フォロワー数:約79.6万人

本拠地:アメリカ

履き心地の良い穴の空いたサンダルでお馴染みのブランドで、時価総額は約8,011億円です。2022年時点でアメリカでは3,698店舗も構えています。

元々はボートシューズ用に作られたサンダルですが、ハイブランドのBalenciagaや有名アーティストのジャスティン・ビーバーとのコラボを経て、最近では人気なファッションアイテムとして認識されるようになりました。

そんなクロックスですが、TikTokでの活動を開始してから1週間で100,000以上のフォロワーを獲得しました。

これは、「#ThousandDollarCrocs」というハッシュタグを活用したキャンペーンを実施した結果で、おしゃれにデザインした自分のオリジナルクロックスを動画で投稿するというものでした。現在ではこのハッシュタグの合計再生数が31億になっています。

他にも「Shaving Cream Challenge」(シェービングクリームが入ったクロックスに足を入れる)などのキャンペーンなどが流行り、フォロワー数がどんどん増えていきました。

TikTokでは主におもしろ動画、新しいコラボ限定商品のPR動画、インフルエンサーとコラボした動画などを投稿していて、「おしゃれなクロックス」のブランドイメージで若年層から人気を集めています。

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5. Red Bull

フォロワー数:約700万人

本拠地:アメリカ

「翼をさずける」で誰もが知るエナジードリンクで、「エクストリーム・スポーツ」を通じて唯一無二のブランドを形成しました。

その結果、2020年では79億本以上も売れるようになり、2018年に世界エナジードリンク市場の43%も占めるようになりました。

TikTokでは主にBMX、スノボ、サーフィンなど世界中で数々のエクストリームスポーツの動画を投稿し、レッドブルのブランドイメージをPRしています。

平均エンゲージメント率は驚愕の10%で、ユーザーを引き寄せるコンテンツを提供し続けています。

他にも、毎年行われるレッドブル主催の「Dance Your Style」というダンス大会の認知度を上げるため、TikTokで「#RedBullDanceYourStyle」のハッシュタグキャンペーンを実施しています。

これは、ユーザーがハッシュタグを付けたダンス動画をアップロードすることで参加でき、審査を通った8人のファイナリストが大会に出場することができます。

世界中で23人の有名TikTokerと組み、フォロワー数を増やしたのち、現在「#RedBullDanceYourStyle」の合計再生数は100億万となっています。

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6. Netflix

フォロワー数:約3140万人

本拠地:アメリカ

サブスク式動画配信プラットフォームの世界的代表ブランドで、2022年6月時点で約2.2億人が会員登録していました。

元々は1999年にインターネットを通じ、映画のDVDを配達するサービスでしたが、2007年に動画配信というビジネスモデルに切り替わりました。

2010年にビジネスを海外展開させ、2016年には190カ国以上に伸びました。

現在はテレビ、タブレット、スマホなどで好きな映画やドラマを好きなだけ見ることができ、さらに大ヒット作品「ストレンジャー・シングズ」や「クイーンズ・ギャンビット」はネットフリックスでのみ視聴することができます。

TikTokではネットフリックスで見れるドラマや映画に関するコンテンツを投稿しています。

例えば、最近大ヒットしたドラマ「ウェンズデー」のPR動画、舞台裏の貴重映像、インタビュー動画など、ファンが見たくなるようなコンテンツを提供しています。

他にも、ドラマの第4話で主人公が披露したダンスを、主人公とそっくりなTikTokerが再現した動画がバズり、その動画に1,200万以上の「いいね」が付きました。

有名アーティスト「レディー・ガガ」さんも流行りに乗り、踊っている動画をTikTokで投稿したら「billboard」や「teenVOGUE」含む数多くのメディアにピックアップされました。

ネットフリックスも他ブランドと同様で、ハッシュタグ付きのキャンペーンで認知度を上げる戦略を立てています。

例えば、ドイツで「Sing On! Germany」というシリーズの認知度を上げるため、ドイツの人気TikTokerの「Tina Neumann」さんや「Electra Pain」さんなどと共同し、ユーザーが自分が歌っている動画を「#SingOnGermany」に投稿するといったキャンペーンを実施していました。

結果、「#SingOnGermany」で投稿された動画は合計で7.7億回も再生されています。

おわりに

今回は海外の大手ブランドがどのようにTikTokを活用し、認知度を上げているかを紹介しました。今回挙げた例でどのブランドにも共通する重要な戦略は2つあります。

1 広告感を無くし、流行りのUGCに沿ったフォーマットで動画を投稿

2 ハッシュタグを活用したキャンペーンを拡散

TikTokの流行りに合わせたコンテンツを提供しつつ、ユーザーに自社ブランドの価値観やサービスについて知ってもらう必要があります。

以上まとめた戦略は海外のみではなく、日本のTikTokでも活用できる施策かもしれません。

もしご興味あれば、「2022年で最も人気だったTikTokerは?(男女別)」をご覧になってください。

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参考文献

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https://www.tiktok.com/@netflix