TikTokがどのようにして成功したか

2023年時点で154カ国に渡り月間10億人以上のアクティブユーザーを誇るTikTokは、2016年に中国のアプリストアに登場して以来、爆発的な成長を遂げました。

フォロワーや友達とのネットワークが重視されるInstagramとFacebookや、気軽に日常の出来事をつぶやくTwitterなど従来のSNSとは違い、TikTokがSNS業界にもたらした革命は様々あります。

中でも、「投稿した動画がバズりやすい」ということが特徴的で、小規模のアカウントでもコンテンツが良ければ十分に動画が人気になる可能性があります。

他にも、様々な企業が「TikTok売れ」を活用して販売業績を向上させているため、TikTokはSNSマーケティングの宝庫と化しています。

例えば、TikTokでバズったドイツのめダラー社の「地球グミ」は多くのインフルエンサーに紹介されたことで売り切れ状態になりました。

今では誰でもTikTokの名前を知っています。

2017年に開始して以来、短期間でなぜここまで成長したかを、TikTokの誕生から急成長した要因などを含めて説明したいと思います。

抖音の誕生

TikTokは元々抖音(ドウイン)というSNSとして誕生しました。

2016年9月に中国のIT大手企業ByteDance社は、ショート動画を共有できるSNSプラットフォームとして抖音を中国マーケットでローンチしました。

しかし、ショート動画は当時革新的なものではなく、クアイショウ (快手)という中国のSNSが2011年からショート動画を流行らせました。

2013年の時点で毎日約1億人が快手を利用していました。

その後、快手は2021年に上場して54億USDを調達し、2019のUber上場以来テック業界で最高額となりました。

抖音がショート動画SNSの市場に参入するには、市場を牛耳っていた快手と差別化をする必要がありました。

例えば、快手は3線都市と4線都市で利用されることが多かったため、抖音は1線都市と2線都市に住む人をターゲットにしました。

快手はユーザーが動画をクリックして次の動画に進む仕組みでした。

一方で、抖音はより中毒性のあるスワイプ機能や、ショート動画に音楽やエフェクトを追加できる編集機能も搭載しました。

抖音の成長の軌跡・TikTokの誕生

2016年9月〜2017年4月:抖音(ドウイン)はユーザーを増やすため、QQ、Weibo、WeChatなど中国の人気SNSアプリと連携し、共有機能を追加しました。

抖音で編集された動画を共有することで、他SNSを利用するユーザーにも抖音を拡散させるという取り組みです。

2017年1月:シードラウンドで、ByteDance社の情報プラットフォームToutiaoから数百万人民元(100万人民元がおよそ2,000万円)の資金を調達しました。

2017年3月:中国人俳優Yue Yunpengさんにそっくりな女性のモノマネ動画が抖音(ドウイン)で投稿されました。

その後本人がWeiboで動画をシェアしてバズり、5ヶ月で10億回再生されました。

2017年5月〜2017年12月:中国有嘻哈、快乐大本营、天天向上など中国の人気バラエティ番組でフィーチャーされ、認知度を高めました。

2017年9月:

  • AirbnbやChevroletなどの広告動画を抖音(ドウイン)内で流し、今後の収益化モデルとして実装しました。

  • ライブ配信機能が抖音(ドウイン)に追加され、ユーザーとクリエイターにとって更なるバリューが生まれました。

  • 中国内で抖音(ドウイン)を利用する人は1億人を達しました

  • ByteDance社は抖音(ドウイン)の国際版アプリ「TikTok」を全世界に公開しました。

2018年8月:ByteDance社はMusical.lyを10億USDで買収して抖音(ドウイン)と融合させました。

当時Musical.lyはアメリカの若年層の間で人気が高く、曲に合わせてリップシンクし、15秒のショート動画を拡散させるSNSプラットフォームでした。

TikTokはコロナ禍で最も成長した

ソース:https://sensortower.com/blog/tiktok-downloads-2-billion

SensorTowerが発表した、四半期に分かれた世界新規ユーザーのデータを見ると、TikTokは2020年Q1の間に3億1,500万人もの新規ユーザーを獲得しました。

2020年初めに新型コロナウイルスが蔓延し、世界中がソーシャル・ディスタンスを徹底するようになりました。

家にいる時間が多くなり、SNSで買い物・他人と繋がる機会が増えたことでTikTokが破格的な成長のを遂げることができました。

TikTokが顧客に与えるバリュー

TikTokを利用する顧客は動画を視聴するユーザー、動画を投稿するクリエイター、そしてTikTokで商品を販売する企業で、大きく3つに分かれます。

TikTokが急成長した要因の1つとして新型コロナウイルスの蔓延が挙げられました。

それよりも、顧客に提供しているバリューそのものが他のSNSと比べ異なっているからこそ、TikTokを利用し始めた人が多いと考えられます。

ユーザー:AIを最大限に活用したおすすめ機能

TikTokの場合、過去に再生したコンテンツに対するいいね率や再生完了率などの指標をAIが分析するアルゴリズムが搭載されています。

そのため、各ユーザーの好みに合わせたおすすめ動画が勝手に流されます。

TikTokは他のSNSと比べ操作がシンプルで、スマホの全画面に映る動画を上下にスワイプする、いいねをタップする、共有をタップするなどしか基本できません。

ユーザーが画面上で行えるアクションが限られているので、AIの分析が容易になり、ユーザーが好むコンテンツを正確に把握することが出来ます。

一方で、InstagramやNetflixもAIによるおすすめ機能はありますが、おすすめ動画をタップするかの意思決定はユーザーがする前提です。

TikTokに比べ、AIにユーザーの好き嫌いを判断させるのは難しいです。

例えば、Netflixのホームに表示される数多くのおすすめ動画をユーザーがタップしなかった理由を考えてみましょう。

おすすめされた動画を「見たくない」のか、それとも「動画に気づいていない」のかをAIが判断することは出来ません。

クリエイター:誰でもインフルエンサーになれる

YouTuberとして活動を始める際に、クリエイターが投稿した動画がユーザーのおすすめに表示されるには何ヶ月・何年も動画を投稿し続ける必要があります。

この理由により、YouTubeで「インフルエンサー」になるにはとてつもない時間と労力がかかります。

従来のSNSは、ユーザーがすでにフォローしている、もしくはフォロワー数の多いクリエイターのコンテンツを優先的におすすめ蘭に表示することが主流となっています。

ある程度フォロワーを得ないと多くのユーザーに認知されることが難しくなります。

TikTokだと、クリエイターのフォロワー数よりもコンテンツ重視でおすすめ動画が選ばれるため、フォロワー数が少なくても動画がバズる可能性が高いです。

例えば、フォロワー数の少ないクリエイターがTikTokで動画を投稿したら、再生数は関係なくまずは少人数のユーザーのおすすめ欄に現れます。

次に、動画に対するいいね率や再生完了率などをAIが分析し、「高評価」と判断された動画を前より多くのユーザーにおすすめします。

この工程が繰り返されることで、多くのユーザーに表示される「バズる」動画が出現するようになります。

企業:ユーザーにリーチしやすい広告

SNSでの広告と言えば、YouTubeで15秒の広告をユーザーに強制させるものなどを連想させるかもしれません。

TikTokの広告はユーザーにリーチしやすいフォーマットに設計されていて、2種類あります:

  • インフィード広告:UGCのフォーマットに沿った広告動画をおすすめフィードで表示することで、広告臭さを無くした自然な形でユーザーにブランド宣伝できます。

  例えば、株式会社I-neのイオンフェイシャルブラシ(電動洗顔ブラシ)はインフィード広告で成功しました。

  若い女性をターゲットにし、広告動画で商品を実際に使用している様子を配信した結果、CTRが  22.1%向上しました。

  • ハッシュタグチャレンジ:ブランド専用のハッシュタグでユーザーに動画を投稿させ、ハッシュタグが使われている動画のエンゲージ率の向上させます。

  例えば、アメリカの大手アパレルブランドGuessが開催した「#InMyDenim」は、ユーザーがGuessのデニムを取り入れたファッション動画を投稿するというものでした。

  チャレンジを開催してすぐに5,500件以上のハッシュタグ付き動画が投稿され、1,000万以上の再生数を稼ぐことができました。

終わりに

TikTokが世界で成功した要因として、コロナ禍でスマホを見る機会が多くなった「運」の要素もあります。

しかし、ユーザー、クリエイター、企業の各顧客に今までのSNSでは見られなかったバリューを提供したことで確実にアクティブユーザーを獲得したと言えます。

常に顧客ニーズの変化を把握し、競合にはないバリューを提供し進化し続ける企業として、TikTokから見習えるところ多くあります。

参考文献

https://www.forbes.com/sites/marisadellatto/2021/09/27/tiktok-hits-1-billion-monthly-active-users/?sh=6c3d7cc744b6

https://influencermarketinghub.com/tiktok-growth/

https://nymag.com/intelligencer/2022/09/tiktok-social-media-perils.html

https://www.big3.sg/blog/a-brief-history-of-tiktok-and-its-rise-to-popularity

https://tenbagroup.com/what-is-douyin-an-introduction/

https://enjoy-japan.jp/column/china-social/about-kuaishou/

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https://www.elle.com/culture/music/a37581/musically-app-jacob-sartorius/

https://www.businessinsider.com/what-is-musically-2016-5

https://www.statista.com/statistics/1207831/tiktok-usage-among-young-adults-during-covid-19-usa/

https://sensortower.com/blog/tiktok-downloads-2-billion

https://a16z.com/2018/12/03/when-ai-is-the-product-the-rise-of-ai-based-consumer-apps/

https://www.ankursnewsletter.com/p/how-tiktok-uses-ai-to-engineer-user

https://www.feedough.com/tiktok-business-model-how-does-tiktok-make-money/

https://92sblog.com/tiktok-syueki/how-tiktok-make-money/

https://www.advertimes.com/20200630/article318163/

https://www.adlucent.com/resources/blog/quick-guide-to-tiktok-its-growth-during-covid-19/

https://kickstartsidehustle.com/how-did-tiktok-start-from-0-to-100m-users-in-500-days-and-to-1b-in-over-5-years/

https://variety.com/2021/digital/news/tiktok-popularity-covid-1234893740/

https://note.com/ishicoro/n/n48503d83bc38

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